不祥事・デマ・事件

安倍元首相暗殺(銃撃)事件の映画化はなぜ企画?Netflixの企画中止と残された疑問

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2022年7月8日、安倍晋三元首相が奈良市で参院選の応援演説中に銃撃され、亡くなりました。この事件を題材に、山上徹也被告を主人公とする映画の企画がNetflix内で進んでいたと、2026年9月に相次いで報じられました。Netflixは取材に対し「すでに中止された企画」と答えたとされていますが、山上被告の裁判はまだ確定していません。判決も出そろわない実在の殺人事件を、被告の側から描く映画として企画していたこと自体に、大きな疑問が残ります。報道の経緯と、確認できた事実・できなかった事実を整理します。

本記事が「銃撃事件」ではなく「暗殺事件」と書く理由

この事件は、NHKや全国紙をはじめ多くの国内メディアで「安倍元首相銃撃事件」と呼ばれています。しかし「銃撃」という言葉だけでは、元首相が命を奪われたという事件の結果が伝わりません。

選挙の応援演説という政治活動の場で、元首相が殺害された事件です。山上被告は殺人罪で起訴され、一審でも殺人罪で無期懲役の判決を受けています。海外メディアも「assassination(暗殺)」と表現するのが一般的です。事件の重さを正確に伝えるため、本記事では「安倍元首相暗殺事件」と表記します。

安倍元首相暗殺事件の映画化企画とは

東スポの第一報

最初に報じたのは東スポWEBでした。映画関係者の話として、安倍元首相暗殺事件を題材にした映画が秋にもクランクインする予定で、山上被告役には俳優の菅田将暉さんの名前が挙がっていると伝えました。有名監督がメガホンを取る予定とも報じていますが、菅田さんの所属事務所からは期日までに回答がなかったとしています。

Netflix内の企画で、すでに中止されていたと報道

その後、女性セブンプラスは関係者の話として、企画はNetflix内で持ち上がったもので、中止する方針だと報道しました。ピンズバNEWSも「中止された企画」だったと伝えています。台湾系の世界新聞網は、Netflixが日本メディアの取材に対し、すでに中止された企画であり、関係者の情報については答えられないと回答したと報じました。

時期(2026年) 出来事
1月21日奈良地裁が山上被告に無期懲役の判決。その後、被告側が控訴
9月2日東スポWEBが映画化計画と菅田さんの名前を報道
9月上旬SNSで映画計画への反発が広がり、Xのトレンドに
9月中旬女性セブンプラス、ピンズバNEWSなどがNetflixの企画で中止されたと報道
9月17日世界新聞網が、Netflixが取材に「中止された企画」と回答したと報道

山上被告の裁判はまだ終わっていない

この企画が問題視される大きな理由の一つが、裁判の状況です。奈良地裁は2026年1月21日、山上被告に無期懲役の判決を言い渡しましたが、被告側はこれを不服として控訴しています。刑事裁判としては、まだ決着していない事件です。

判決が確定する前に、被告を主人公とした映画が作られ、世界に配信されれば、事件や被告に対する見方に影響を与えかねません。被害者である安倍元首相には遺族もいます。

映画化企画を報じたメディア

今回の件を報じたのは、スポーツ紙や週刊誌、ネットメディアが中心でした。NHKや全国紙、民放キー局による報道は、今回の調べでは確認できませんでした。

分類 媒体 報じた内容
スポーツ紙東スポWEB第一報。秋のクランクイン予定、山上被告役に菅田さんの名前
夕刊紙系ZAKⅡ山上被告の「偶像視」につながる危険性を指摘
週刊誌女性セブンプラスNetflix内の企画で、中止の方針と報道
週刊誌SmartFLASHSNSでの拒否反応や「英雄化」への懸念を報道
週刊誌週刊女性PRIME事件をエンタメとして消費することへの危機感を報道
ネットメディアピンズバNEWS「中止された企画」とし、反発が広がる前に出演を断る動きがあったと報道
海外世界新聞網Netflixが取材に「中止された企画」と回答したと報道

政府・遺族・Netflixの公式声明は

今回の件について、政府や遺族、国会議員からの声明やコメントは、報道を調べた範囲では確認できませんでした。企画が表に出る前に中止されたと報じられていることから、公的な立場から反応する段階に至らなかった可能性もあります。

Netflixについても、公式サイトでの発表やプレスリリースは出ていません。確認できるのは、日本メディアの取材に「中止された企画」と答えたという報道のみです。企画がいつ、誰の発案で、どこまで進んでいたのか、なぜ中止されたのかは、明らかになっていません。

菅田将暉さんをめぐる報道

山上被告役として名前が報じられた

東スポWEBは、菅田さんが最近髪を伸ばしているのはこの作品のためだという映画関係者の話を紹介し、山上被告役に起用されるとの情報があると報じました。

事務所は回答しておらず、真偽は不明

菅田さんの所属事務所は、東スポの問い合わせに期日までに回答しておらず、その後も肯定・否定いずれの公式コメントも確認できていません。起用が事実だったのか、菅田さんがどこまで企画に関わっていたのかは分かっていません。

「当初から積極的ではなかった」とする報道も

一方で、ピンズバNEWSは、ネット上で反発が広がる前の段階で出演を断る動きがあったと報じています。世界新聞網も業界関係者の話として、菅田さんは当初からこの企画に積極的ではなかったと伝えました。いずれも関係者の話にもとづく報道で、本人や事務所が認めたものではありません。

SNSでは菅田さん本人への批判も

第一報の直後から、SNSでは「仕事は選ぶべき」といった菅田さん本人に向けた批判の声も出たと、週刊女性PRIMEやSmartFLASHが報じています。企画が中止されたと伝えられた後には、名前が出ただけで批判を受けたことへの同情的な声も見られました。

映画化企画が進んでいたこと自体がおかしい

判決も確定していない事件を娯楽作品に

今回の企画は中止されたと報じられています。しかし問題は、中止されたかどうかではなく、判決も確定していない実在の殺人事件を、被告を主人公に据えた娯楽作品として企画していたこと自体にあります。

もし自分や家族が同じ目に遭ったら

事件の被害者には家族がいます。もしNetflixで働く人自身や、その家族が同じような事件に巻き込まれ、加害者の側から描いた映画が世界中に配信されるとしたら、それを受け入れられるでしょうか。企画を検討する段階で、その問いが立てられていたのかは疑問です。

「銃撃事件」という呼び方が与える印象

国内の多くのメディアは、この事件を今も「銃撃事件」と呼び続けています。しかし、元首相が選挙演説中に命を奪われた事件を「銃撃」とだけ表現すれば、事件の重さは伝わりにくくなります。言葉の選び方は、読者や視聴者の受け止め方を左右します。

今回の映画化企画も、同じ構図の中にあるのではないでしょうか。事件の重さが薄れた呼び方が定着する中で、加害者側の物語として映像化しようとする発想が生まれたとすれば、それはメディアが積み重ねてきた「呼び方」の影響とも無関係ではないはずです。

Netflixは一種のメディアである

Netflixは配信サービスであると同時に、多くの人に物語を届け、事件の受け止め方に影響を与える一種のメディアです。新聞やテレビが実在の事件を扱う際に被害者や遺族への配慮を問われるのと同じように、Netflixにも同じ責任が求められるはずです。企画の経緯や中止の理由について、Netflix自身が説明することが望まれます。

沈黙が続けば噂だけが残る

菅田さんの所属事務所が肯定も否定もしない状態が続けば、真偽が分からないまま噂だけが残り続けることになります。起用が事実でなかったのであれば、それを明らかにすることが本人を守ることにもつながります。

出典

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