不祥事・デマ・事件

Yahoo!のAIが噛みつき被害者の前田凛を「加害者」に。LINEヤフーは訂正なしで削除

不祥事・デマ・事件
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2026年10月1日、愛知・名古屋アジア大会の柔道女子70kg級で、日本の前田凛選手が中国の唐婧選手に腕を噛まれ、唐選手が反則負けとなりました。ところが、Yahoo! JAPANのリアルタイム検索(運営:LINEヤフー)の「SNSのバズまとめ」は、この出来事を「前田凛選手が中国選手に噛みつき」「前田選手は反則負け」と、被害者と加害者を逆にして伝えていました。添えられた写真は前田選手ではなく、別の柔道選手のものでした。このまとめはAIが生成したもので、訂正のないまま削除されています。何が起きたのかを、正しい事実と並べて検証します。

アジア大会柔道の噛みつき事件とは

事件が起きたのは、女子70kg級の準々決勝です。試合開始から約50秒、場外際の寝技の攻防で、唐婧選手が前田凛選手の左腕に噛みつきました。ビデオ確認の後、唐選手に反則負けが言い渡されています。前田選手はその後の試合も勝ち進み、決勝でカザフスタンの選手を破って金メダルを獲得しました。

項目 事実
日時・大会2026年10月1日、第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)
試合柔道女子70kg級 準々決勝
噛みついた選手唐婧選手(中国)
噛まれた選手前田凛選手(日本)。左腕にくっきりと歯形が残った
判定唐選手の反則負け
その後前田選手は金メダル。唐選手は取材を拒否し、敗者復活戦を棄権

Yahoo!のAIまとめで何が起きたか

「前田凛選手が中国選手に噛みつき」と事実と逆の要約

問題のページは、LINEヤフーが運営するYahoo!リアルタイム検索の「SNSのバズまとめ」です。X(旧Twitter)で話題になっている投稿を、AIが自動で集めて要約する機能です。当サイトが保存した画面では、見出しは「前田凛、アジア大会柔道で中国選手に噛みつき反則負け 衝撃シーンが話題に」となっていました。

見出しだけでも、前田選手が噛みついて反則負けになったように読めます。さらに要約文は、はっきりと事実を逆に伝えていました。

アジア大会女子柔道の試合で、前田凛選手が中国選手に噛みつき、審判は反則と判断したため、前田選手は反則負けとなった。

Yahoo!リアルタイム検索「SNSのバズまとめ」のAI要約(現在は削除)
Yahoo!リアルタイム検索のAIまとめ。前田凛選手が中国選手に噛みついたと誤って要約している
削除前のYahoo!リアルタイム検索「SNSのバズまとめ」(当サイトが保存した画面)

写真は別の選手・近藤美月選手

まとめに添えられた写真も、前田選手ではありませんでした。写っていたのは、同じ柔道の近藤美月選手です。AIが話題の投稿から画像を拾ったとみられ、事件とは無関係の選手まで巻き込む形になっています。

訂正なく削除されたページ

このまとめは、表示時点で23件の投稿を集め、「バズり中」の表示も付いていました。その後、ページは削除され、現在は開けなくなっています。当サイトが確認した範囲では、LINEヤフーが誤りを認めたり、訂正を出したりした形跡は見当たりません(確認日:2026年10月3日)。

正しい報道と並べて見ると

同じ出来事を、各社がどう伝えたかを並べました。日本の報道各社は、いずれも「中国選手が噛みついた」と明記しています。事実と逆の内容を伝えていたのは、Yahoo!のAIまとめだけでした。

媒体 見出し・表現
デイリースポーツ中国選手が日本・前田凛に噛みつき反則負け
スポーツ報知中国選手、かみつき行為で反則負け 前田凛の左上腕に歯形ばっちり
AFP=時事中国選手が「かみつき」失格 被害受けた前田の腕には歯形
日刊スポーツ前田凜への「かみつき」中国メディアは「誤って」と表現
中国メディア「誤って」噛んだと表現(日刊スポーツ、RONSPOの報道による)
Yahoo!リアルタイム検索(AIまとめ)前田凛、アジア大会柔道で中国選手に噛みつき反則負け(要約では「前田凛選手が中国選手に噛みつき」)

中国メディアが「誤って」と表現したことには、中国国内からも「人を噛む行為がうっかり?」と批判が出たと報じられています。被害を受けた側の国のポータルサイトが、それ以上に事実をゆがめる要約を出していたことになります。

SNSでの指摘

Xでは、このまとめの誤りを指摘する投稿が相次ぎました。

「AIの誤り」で済ませていいのか

公開したのはYahoo!自身

今回の誤りは、AIが自動で生成した要約から生まれたものです。しかし、AIを導入し、その出力を自社のサイトに載せると決めたのは、運営するLINEヤフーです。利用者が書き込んだ投稿ではなく、LINEヤフーのシステムが作り、Yahoo!のページで公開した内容である以上、責任はLINEヤフーにあります。新聞社の記者が事実を取り違えれば新聞社が責任を負うのと、何も変わりません。

注意書きは免罪符にならない

Yahoo!リアルタイム検索のAIまとめには、「AIアイコンが付いているコンテンツはAIが生成しています。内容の最新性・正確性は保証されておりません」という注意書きがあります。しかし、多くの読者は注意書きまで読まず、見出しと要約だけを見て受け取ります。噛まれた被害者を「噛みついた側」として伝え、無関係の選手の写真まで添えたことは、2人の選手の名誉に関わる問題です。注意書きを付けておけば済む話ではありません。

削除ではなく訂正を

誤りに気づいて削除したのであれば、なぜ訂正を出さないのでしょうか。黙って消すだけでは、すでにまとめを見た人は、それが間違いだったと知る機会がありません。「前田選手が噛みついた」という誤った印象だけが残ります。意図的だったかどうかに関わらず、誤った情報を広めた責任を果たすには、何が誤りだったのかを公表することが欠かせません。

当サイトのAI利用について

当サイトも、情報収集にAIを活用しています。ただし、AIが集めた情報はそのまま載せず、報道や公式発表などの情報源で一つずつ確認しています。確認できなかった情報は「確認できなかった」と明記し、裏付けのない噂は噂として扱うか、記事に載せません。たとえば今回の事件をめぐっては、「中国選手が前田選手の自宅を訪れて謝罪した」とする動画も出回っていますが、裏付けとなる報道が見つからないため、事実としては扱っていません。

AIを使うこと自体が問題なのではありません。問題は、出す前に事実を確かめるかどうかです。日本最大級のポータルサイトを運営するLINEヤフーには、その確認を求められる責任があるはずです。

出典

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