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斎藤知事を「人殺し」と罵倒した菅野完氏を守る兵庫県政記者クラブ

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2026年10月、兵庫県の斎藤元彦知事は、フリー記者の定例会見への参加を認めないと判断しました。兵庫県政記者クラブは「受け入れられない」と抗議し、報道各社はこれを「報道の自由」の問題として伝えています。しかし、この記者は6月の会見で、知事に向かって「人殺しやないか、お前は」と罵倒していました。そして、この記者を審査して会見に入れていたのも、出入り禁止にした後に復帰を認めたのも、記者クラブ自身です。知事を罵倒した記者を守ることが、本当に報道の自由なのか。記者クラブの判断を検証します。

斎藤知事が会見参加を拒否した菅野完氏は、知事を「人殺し」と罵倒していた

時期出来事
2026年6月3日定例会見で、フリー記者が他社の質問中に知事へ「人殺しやないか、お前は」などと発言。会見は中断し、記者は退出
6月3日以降知事が記者クラブに対応を求める。記者クラブがこの記者を一時的に出入り禁止に。知事は名誉毀損で県警に告訴
出入り禁止の後記者が「同じことがあれば参加をやめる」と約束し、記者クラブが10月7日からの復帰を認める
10月6日兵庫県が記者に、会見への参加を認めないと通告
10月6〜7日記者クラブが知事に再考を求め、「根拠が示されず受け入れられない」と抗議
10月7日知事が会見で「円滑な会見運営の観点から受け入れは困難」と説明

時系列は、神戸経済ニュース、J-CASTニュース、神戸新聞、毎日新聞などの報道をもとにしています。共同通信などは、この記者を著述家の菅野完氏と実名で報じています。

「人殺しやないか、お前は」、他社の質問中に飛び出した罵倒

質問でも取材でもない、ただの人格攻撃

神戸経済ニュースによると、発言は、別の記者が知事に質問している最中に出たものでした。関西テレビなどによると、背景には、亡くなった元局長の懲戒処分をめぐる知事の発言への反発があったとされています。しかし、どのような背景があったとしても、記者会見の場で、他社の質問をさえぎって知事を「人殺し」と呼ぶことは、質問でも取材でもありません。根拠を示さずに相手を人殺し呼ばわりする、ただの人格攻撃です。

会見は中断し、知事は名誉毀損で告訴

知事は、発言が取り消されない限り会見を続けられないと述べ、記者は退出しました。その後、知事はこの記者を名誉毀損で兵庫県警に告訴しています。罵倒によって、ほかの記者の質問の機会も奪われました。会見は、この記者1人のための場ではありません。

この記者を会見に入れたのは記者クラブだった

参加を審査するのは記者クラブの幹事社

兵庫県知事の定例会見は、県と兵庫県政記者クラブの共催です。神戸経済ニュースによると、加盟社以外の記者やフリー記者は、参加基準を満たしたうえで、月替わりで務める県政記者クラブの幹事社の審査を受けて出席します。つまり、この記者を会見に入れたのは、県ではなく記者クラブです。

審査基準は公開されているのか

記者クラブがどのような基準でこの記者の参加を認めたのかは、報道からは分かりません。県がフリー記者を拒否すると「基準が示されていない」と批判する記者クラブですが、自分たちがフリー記者を受け入れる基準と審査の中身を、どこまで公開しているのでしょうか。他人に基準の明示を求めるのであれば、まず自らの審査基準を示すべきです。

一時的な出禁で済ませ、復帰を認めた記者クラブ

「同じことがあればやめる」という約束だけで復帰

J-CASTニュースによると、記者クラブは6月の発言のあと、この記者を不規則発言を理由に一時的に出入り禁止にしました。その後、記者が「同じようなことがあれば参加をやめる」と約束したことで、10月7日からの復帰を認めています。知事を人殺し呼ばわりした記者に対する措置が、一時的な出入り禁止と、本人の約束だけでした。記者クラブは10月7日の声明で、記者が過去の不規則発言について謝罪し、再発防止を誓約したとしています。しかし、謝罪の対象は「不規則発言」です。知事を人殺し呼ばわりしたこと自体を謝罪したのかは、示されていません。

知事が求めた「再発防止策」に答えたのか

知事が記者クラブに求めたこと(6月)記者クラブの対応として報じられたこと
発言を議事録にどう記録するか報道では確認できず
幹事社として、この発言をどう受け止めるか報道では確認できず
再発をどう防ぐか一時的な出入り禁止と、本人の「同じことがあればやめる」という約束

知事が求めた3点のうち、記者クラブが公に答えたことが確認できるのは、再発防止についての本人の約束だけです。「次に同じことがあればやめる」という約束は、もう一度罵倒されるまで何もしないという意味でもあります。これを再発防止策と呼ぶことはできません。

県の判断には「受け入れられない」、記者クラブの二重基準

自分たちは出禁にしたのに、県が拒否すると抗議

記者クラブが出入り禁止にしたとき(6月)
判断した側:記者クラブ
理由:不規則発言
記者クラブの評価:必要な措置
県が参加を拒否したとき(10月)
判断した側:兵庫県
理由:会見での不適切な発言などを総合的に判断
記者クラブの評価:「受け入れられない」

同じ記者の、同じ発言をめぐる判断です。記者クラブが出入り禁止にすれば正当な措置で、県が参加を拒否すれば報道の自由への侵害になる。記者クラブは、誰が判断したかによって評価を変えています。問われるべきは発言の中身であり、判断した主体ではないはずです。

罵倒した記者を守ることは「報道の自由」ではない

報道の自由とは、権力に対して厳しい質問をする自由です。根拠なく相手を人殺し呼ばわりする自由ではありません。記者クラブの加盟社の記者が会見で同じことをすれば、所属する会社は処分を検討するはずです。加盟社の記者には求める節度を、フリー記者には求めず、その記者を守るために県を批判する。それは報道の自由を守ることではなく、報道の自由という言葉を、罵倒を正当化するために使うことです。

10月7日の会見、加盟社の質問は記者の擁護一色

13人全員が参加拒否だけを質問

SNS上で公開された質問者の一覧によると、10月7日の定例会見で質問した13人は、朝日新聞、NHK、読売新聞、毎日新聞、神戸新聞、産経新聞、日本経済新聞、共同通信、関西テレビの記者と、フリー記者3人でした。その全員が、この記者の参加拒否についてだけ質問しています。ジャーナリストの松本創氏も、質問者全員が参加拒否の問題だけを問うた会見だったと述べています。県政のほかの課題についての質問は、出ませんでした。

質問は、拒否の法的根拠、判断の基準、表現の自由への影響に集中しました。知事を人殺し呼ばわりした発言そのものが記者として許されるのかを問う質問は、確認できる限りありません。県民のための会見の時間が、罵倒した記者1人を守るために使われたことになります。

幹事社は「侮辱に当たるとは一致しなかった」

同じ会見で、幹事社の朝日新聞は記者クラブの見解を説明しています。SNS上で共有された会見の内容によると、6月の発言について、記者クラブ内では「発言が侮辱に当たるという点では一致に至りませんでした」と述べ、「会見の進行を妨げる不規則発言があった点では一致」したため、参加を断ったと説明しました。

根拠を示さずに知事を「人殺し」と呼んだ発言を、記者クラブは侮辱だと認めませんでした。問題にしたのは、会見の進行を妨げたことだけです。もし加盟社の記者が会見で取材相手を人殺し呼ばわりしても、記者クラブは「侮辱かどうかは一致しない」と言うのでしょうか。記者クラブの判断の基準は、ここで大きくゆがんでいます。

各社の見出しを比較、「人殺し」発言を書いたのは一部だけ

この件を報じた各社の見出しを並べます。本文では発言に触れている記事もありますが、ここでは多くの読者が目にする見出しだけを比べています。

報道機関見出し「人殺し」の記載
産経新聞「現時点で受け入れは困難」兵庫の斎藤知事、「人殺し」発言のフリー記者の会見参加拒否あり
関西テレビ兵庫・斎藤知事 「人殺し」発言フリー記者の会見参加を拒否 質問相次ぐも「知事として総合的に判断」繰り返し“法的根拠”説明なしあり
日本経済新聞兵庫県、フリー記者の定例会見参加認めず 斎藤知事「円滑運営のため」なし
朝日新聞兵庫県、不規則発言のフリー記者に会見参加認めず 斎藤知事の判断なし(「不規則発言」)
共同通信菅野氏の兵庫知事会見出席認めず フリー記者、発言受けなし(「発言」)
神戸新聞斎藤知事、フリー記者の会見参加を拒否 記者クラブ「根拠示されず、受け入れられない」声明提出なし
毎日新聞兵庫・斎藤知事「発言看過できない」 県、フリー記者の入室拒否なし(「発言」)
J-CASTニュース斎藤元彦知事「フリー記者出禁を判断」で会見紛糾なし

見出しだけでは「知事が記者を締め出した」としか読めない

見出しに「人殺し」と書いたのは、確認できた範囲では産経新聞と関西テレビだけでした。日本経済新聞や神戸新聞の見出しからは、記者がなぜ拒否されたのかが分かりません。朝日新聞は「不規則発言」、共同通信と毎日新聞は「発言」と、罵倒の中身をぼかした言葉を使っています。見出しだけを読んだ人には、知事が気に入らない記者を締め出した、という話にしか見えません。

記者クラブの加盟社が、自らの判断を報じている

見出しで発言をぼかした社の多くは、兵庫県政記者クラブの加盟社か、その記事を配信する通信社です。記者クラブとして県の判断に抗議しながら、自社の記事では、記者が知事を人殺し呼ばわりしたという、県の判断の最大の理由を見出しから外しています。当事者である記者クラブの加盟社が、自分たちに都合のよい形でこの問題を報じていると言わざるを得ません。

兵庫県の手続きにも課題、拒否の基準は明文化を

一方で、県の手続きにも問題はあります。J-CASTニュースによると、知事は、参加拒否が法令や条例に基づくものではなく「総合的な判断」だと説明し、いつ、どうすれば参加できるようになるのかという条件も示しませんでした。専修大学の山田健太教授は、「円滑な運営」という理由は客観的な基準にならず、首長が気に入らない記者を締め出すことにも使えると指摘しています。

今回の判断には、罵倒という明確な理由がありました。だからこそ県は、「会見で相手を根拠なく誹謗した場合は参加を認めない」といった基準を明文化し、どの記者にも同じように適用すべきです。基準があれば、判断が恣意的だという批判にも答えられます。

記者クラブは会見の私物化をやめよ

会見は記者クラブのものではない

知事の会見は、県民に向けて県政を説明する場です。記者クラブは、その会見を共催し、誰を入れるかを審査する立場にあります。その立場にあるのなら、知事を罵倒した記者を自ら審査して入れ、口約束だけで復帰させ、県が拒否すれば抗議する、という一貫性のない対応の責任を負うべきです。

記者クラブに求められる説明

当サイトは、兵庫県政記者クラブに対し、フリー記者を受け入れる審査基準、この記者の復帰を認めた理由、6月に知事が求めた3点への回答を、県民に向けて公開することを求めます。県に説明責任を求める記者クラブであれば、自らの判断にも同じ基準で説明責任を果たすべきです。

出典

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