2026年10月9日、三重県は、県庁の職員を怒鳴ったなどとして、フリーランス記者1人の知事定例会見への出席を拒否していることを、県政記者クラブに説明しました。記者は「でっち上げに等しい」と事実を否定し、法的措置を検討しています。県は複数の職員から聞き取りをしたうえで判断したとしていますが、記者本人からは話を聞いていません。職員を守るための措置なのか、それとも報道の取材の場を行政が一方的に閉ざしたのか。双方の主張と、県の判断の手続きを検証します。
三重県のフリー記者会見出席拒否とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | フリーランス記者1人(第2県政記者クラブに所属) |
| 県が問題とした行為 | 2026年4月〜9月に、複数の人がいる前で職員を怒鳴るなどした行為が4件 |
| 県の措置 | 9月30日に文書で注意。顛末書を提出するまで知事会見への出席を認めない |
| 判断の根拠 | 複数の職員からの聞き取り。記者本人への聞き取りはなし |
| 記者クラブへの説明 | 10月9日。事前の相談はなし |
| 記者の反応 | 「でっち上げに等しい」と否定。顛末書は提出せず、法的措置を検討 |
出典は、伊勢新聞と中日新聞の報道です。県は、職員が特定されるおそれがあるとして、4件の具体的な内容を公表していません。
第2県政記者クラブの記者として会見に出席
伊勢新聞によると、この記者は、2013年4月に発足した第2県政記者クラブに所属しています。三重県では、このクラブの会員も知事の定例会見に出席できることになっています。今回の措置は、その出席の資格を、県の判断で止めたものです。
三重県と記者、主張は真っ向から対立
県と記者の主張を、伊勢新聞の報道をもとに並べます。
県は「ペナルティー的な対応」と説明
伊勢新聞によると、県は記者クラブとのやりとりの中で、今回の措置を「ペナルティー的な対応」と表現しました。報道機関を会見から外すことの重さは認めつつも、職員を守るために重く受け止めて判断した、と説明しています。
記者も、職員を「叱った」ことは認めている
一方で、記者の説明にも注意が必要です。伊勢新聞によると、記者は、取り決めた方法で連絡をしなかった職員を叱った件があると話しています。また、年齢とともに声が大きくなる、相手に聞こえるように声を張ることがある、とも説明しています。記者自身が、職員に強い口調で接した場面があったことは否定していません。それが「怒鳴った」にあたるのかどうかが、県と記者の間で争われている点です。
問題は判断の手続き
記者の行為が実際にどうだったのかは、現時点では確かめようがありません。県は具体的な内容を公表しておらず、記者は否定しているからです。ただし、県がどのような手続きで判断したのかは、報道から確認できます。
| 手続き | 三重県の対応 |
|---|---|
| 記者本人への聞き取り | なし。今後も予定はない |
| 職員への聞き取り | 複数の職員から実施 |
| 記者クラブへの事前相談 | なし。措置の後に説明 |
| 具体的な行為の公表 | なし(職員が特定されるおそれを理由) |
| 出席再開の条件 | 顛末書の提出 |
本人に聞かずに「事実」と判断している
県は、職員の側の話だけを聞いて、記者の行為を事実と判断しています。職員の安全を守るために職員の話を重く見ることは当然です。しかし、当事者の一方の話だけで事実を認定し、そのうえで会見への出席という重い措置をとるのであれば、少なくとも本人の言い分を聞く機会は設けるべきでした。記者が「職員の側が怒鳴った件もある」と主張している以上、なおさらです。
「顛末書を出すまで」は、事実上「認めるまで」
出席再開の条件は、顛末書の提出です。顛末書は、起きたことの経緯を書いて提出する書類です。記者が言うように、事実関係を争っている側にとっては、提出すれば県の主張を認めることになりかねません。本人の言い分を聞かないまま、県の認定を受け入れなければ会見に戻れない、という形になっています。
記者クラブにも事前の相談なし
県は、措置を決める前に記者クラブに相談していません。誰が会見に出席できるかは、報道の側にとっても重大な問題です。県が単独で決め、後から説明する形では、県にとって都合の悪い記者を外すことも、手続きの上では可能になってしまいます。今回がそうだと言うのではありません。そうした疑いを持たれない手続きになっていない、という点が問題です。
確認できたこと、確認できていないこと
| 確認できたこと | 確認できていないこと |
|---|---|
| 県がフリー記者1人の知事会見出席を拒否していること | 記者が実際に職員を怒鳴ったかどうか(双方の主張が対立) |
| 9月30日に文書で注意し、顛末書の提出を条件としたこと | 4件の行為の具体的な内容(県は非公表) |
| 県が記者本人に聞き取りをしていないこと | 一見勝之知事本人の見解 |
| 記者クラブへの事前の相談がなかったこと | 記者クラブとしての正式な見解 |
| 記者が事実を否定し、法的措置を検討していること | 実際に訴訟などに進むかどうか |
会見から外すなら、基準と手続きを公開すべき
職員を守ることと、会見を開くことは両立できる
取材する側であっても、職員を怒鳴りつけてよい理由にはなりません。もし記者の行為が県の言う通りであれば、県が職員を守るために対応するのは当然です。記者の側にも、職員に強い口調で接したことがあると認める説明があり、取材のあり方が問われる面はあります。
問われているのは、行政が「誰を会見に入れるか」を決める手続き
しかし、知事の会見は、県民に向けて県政を説明する場です。そこに誰が出席できるかを、行政が当事者の一方の話だけで決め、具体的な理由も示さず、相手が県の認定を認めない限り戻れない、という手続きは、公正とは言えません。当サイトは、記者を会見から外すのであれば、どのような行為が対象になるのか、本人の言い分をどう聞くのか、いつ、どうすれば戻れるのかを、あらかじめ公開の基準として示すべきだと考えます。
今後の県と記者の対応を注視する
記者は法的措置を検討しており、今後、県の判断が第三者の目で検証される可能性があります。知事本人がこの措置をどう説明するのか、記者クラブがどのような見解を示すのかも、まだ明らかになっていません。当サイトは、県と記者の双方の対応を、引き続き同じ基準で検証していきます。
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