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民放キー局4〜6月期決算、4社大幅減益で揺らぐ広告頼みの収益構造

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2026年8月に発表された民放キー局5社の4〜6月期決算は、くっきりと明暗が分かれました。前年に広告主の離脱で大きな赤字を出したフジ・メディア・ホールディングスは黒字に戻った一方、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、テレビ東京の4社は、営業利益が3〜5割減りました。前の年度に最高益を出したばかりの4社が、なぜ急に減益になったのか。決算の数字と総務省のデータから、広告に頼るテレビ局の収益構造を検証します。

民放キー局5社の4〜6月期決算

会社営業利益(前年同期比)スポット収入(前年同期比)
日本テレビHD36.6%減273.9億円(12.2%減)
TBSHD43.0%減196.9億円(11.9%減)
テレビ朝日HD48.0%減201.7億円(21.7%減)
テレビ東京HD53.1%減59.6億円(22.6%減)
フジ・メディアHD黒字化(フジテレビ単体は217億円の赤字から36億円の黒字へ)175.4億円(前年同期は24.1億円)

営業利益の増減率は東洋経済オンライン、スポット収入とフジテレビの数字はマイナビニュースの報道によるものです。フジテレビ以外の4社のスポット収入は、合計で約870億円から約732億円へ、約15.9%減りました。

日テレ・TBS・テレ朝・テレ東は36〜53%減益、フジは黒字化

減益の幅が最も大きかったのはテレビ東京で、営業利益は半分以下になりました。テレビ朝日もほぼ半減し、スポット収入の落ち込みは2割を超えています。日本テレビとTBSも営業利益が4割前後減りました。日本テレビはFIFAワールドカップの放送でタイム収入を伸ばしましたが、スポット収入の減少を補いきれませんでした。一方、フジテレビは広告収入がほぼ問題の前の水準まで戻り、黒字に転じました。読売新聞は、フジ・メディアHDの4〜6月期の最終利益が160億円の黒字になったと報じています。

前年度は4社が最高益

東洋経済オンラインによると、2026年3月期には、フジ・メディアHDを除く4社が過去最高の営業利益を出していました。わずか1四半期で、最高益から大幅減益へと一転したことになります。

キー局減益の理由は「フジ特需」の反動と広告控え

前年はフジから流れたCMが他局を潤した

マイナビニュースによると、前年は多くの広告主がフジテレビへのCMを止め、その広告が他の局に流れました。他の4局にとっては、思わぬ追い風となったわけです。今年はフジテレビの広告がほぼ元の水準に戻ったため、他局に流れていた広告が戻り、その分だけ他局のスポット収入が減りました。テレビ朝日は決算で「前年同期の特需の反動等により大幅な減収」と説明しています。

中東情勢による広告控えも重なった

もう1つの理由として、各局は中東情勢の緊迫による広告市場の冷え込みを挙げています。TBSは、広告主が出稿に慎重になっていることを理由に、今年度のスポット収入の見通しを引き下げました。テレビ東京も、前年の反動に加えて中東情勢を減収の理由に挙げています。

テレビ局の収益構造、スポット広告頼みのもろさ

景気や出来事に左右されやすいスポット広告

タイム広告
特定の番組の提供として流れるCM
番組単位で長めの契約を結ぶため、比較的安定している
スポット広告
番組と番組の間などに流れる短いCM
企業がすぐに増やしたり止めたりできるため、景気や出来事に左右されやすい

東洋経済オンラインは、スポット広告は企業が手軽に削れるため、景気の影響を受けやすいと指摘しています。前年の「フジ特需」も、今年の落ち込みも、このスポット広告の動きやすさから生まれたものです。テレビ局の利益は、自社の努力とは関係のない出来事によって、大きく上下する構造になっています。

テレビ広告は10年で減り、ネット広告は3倍に

広告費2015年度2024年度
テレビ1兆8,088億円1兆6,351億円
インターネット1兆1,594億円3兆6,517億円
広告費全体6兆1,710億円7兆6,730億円

総務省が2025年10月に示した資料によると、広告費全体は増えているのに、テレビの広告費は10年で減っています。その間に、インターネットの広告費は3倍以上に伸び、テレビの2倍を超えました。限られたテレビ広告の中で各局が奪い合う構図のため、1つの局の不振が他局の追い風になる、という前年のような現象も起きやすくなっています。

キー局の売上は10年前の水準に届かず

キー局・準キー局2015年度2020年度2024年度
売上高1兆5,096億円1兆3,015億円1兆4,515億円
営業利益987億円613億円642億円

総務省の「民間放送事業者の収支状況」によると、キー局と準キー局の売上高は、コロナ禍で落ち込んだ後に持ち直しましたが、10年前の水準には戻っていません。営業利益は10年前の3分の2ほどです。各局は配信やアニメ、イベントなど放送以外の事業を伸ばしていますが、収益の中心は今も放送広告です。

キー局の減益は続くのか、7〜9月期決算の注目点

公表データで分かることまだ分からないこと
フジ以外の4社が4〜6月期に大幅減益となったこと7〜9月期以降も減益が続くかどうか(11月上旬に発表予定)
4社のスポット収入が合計で約16%減ったこと減益のうち、「フジ特需」の反動と中東情勢の影響がそれぞれどれだけか
フジテレビの広告収入がほぼ元の水準に戻ったこと広告主がフジテレビに戻った理由の内訳
テレビ広告費が10年で減り、ネット広告費が3倍以上になったこと(総務省資料)放送以外の事業が、放送広告の減少をどこまで補えるか

キー局の「最高益」は実力だったのか

前年の好業績は、他局の不祥事による一時的な追い風

前の年度に4社がそろって最高益を出したことは、テレビ局の復調として受け止められがちでした。しかし今回の決算は、その好業績の一部が、フジテレビから流れてきた広告という一時的な追い風によるものだったことを示しています。追い風がやむと、利益は1四半期で3〜5割減りました。

広告頼みから抜け出せるかが問われる

テレビ広告の市場そのものが縮む中で、各局がその限られたパイを奪い合う構造は変わっていません。当サイトは、テレビ局の業績を見るときには、一時的な特需や反動に左右される数字ではなく、放送以外の事業がどれだけ育っているかに注目すべきだと考えます。11月上旬に発表される7〜9月期の決算で、この流れが続くのかどうかを引き続き検証していきます。

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