不祥事・デマ・事件

NHKが高市首相を斜めに映した「ダッチアングル」、説明は矛盾しメディアはだんまり

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高市早苗首相を映したテレビの映像が、なぜか傾いたり、揺れたりする。2025年10月の内閣発足以降、NHKや民放各局でこうした指摘が1年近く続いています。2026年9月には民放4局の映像がそろって揺れ、10月には首相だけを映す場面だけが揺れる映像まで話題になりました。NHKの説明に含まれる矛盾と、それ以降だんまりを続けるメディアの姿勢を検証します。

映像の「見せ方」で印象は変わる

ダッチアングルとは

画面を斜めに傾ける撮り方を「ダッチアングル」と言います。「ダッチ」はオランダではなく、ドイツ(Deutsch)がなまったものとされ、1920年代のドイツ表現主義の映画で多く使われました。狂気と悪夢の世界を描いた『カリガリ博士』(1920年)が代表例です。

映画の世界では、ダッチアングルは100年近く前から「不安」「混乱」「狂気」「正常ではない状態」を表す手法として定着しています。1960年代のテレビドラマ『バットマン』では、悪役が登場する場面で決まって画面が傾き、「この人物は悪者だ」と示す演出として使われました。

ブレた映像が与える印象

映像のブレも、慌ただしさや落ち着きのなさを感じさせます。言葉では中立に伝えていても、映像の見せ方ひとつで、映っている人物の印象は変わります。

通常の映像
水平がまっすぐで、安定した印象
ダッチアングル(傾き)
水平が傾き、不安や緊張を感じさせる
ブレた映像
輪郭が揺れ、落ち着かない印象
※映像の見せ方のイメージ(当サイト作成)

1年で相次いだ「斜め」と「ブレ」

2025年10月から2026年10月までに指摘された主な事例です。

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時期局・番組種類内容情報源
2025年10月22日NHK「ニュース7」斜め高市内閣発足の特集で、首相や国会議事堂の映像が傾いていた産経新聞、週刊女性PRIME
2025年10月下旬NHKブレ日米首脳会談の報道で映像が乱れた週刊女性PRIME
2026年2月9日テレビ朝日「報道ステーション」斜め衆院選の自民党勝利を伝える場面で、首相の映像が傾いていたSNSの指摘
2026年2月テレビ朝日ブレ首相の演説映像で激しい手ブレ。切り抜き動画が大きく拡散週刊女性PRIME、X
2026年2月17日NHKブレ首相の面会・試食の場面が大きくブレた。内閣広報室の映像には大きなブレなし週刊女性PRIME
2026年9月28日日本テレビ、フジテレビ、TBS、テレビ朝日ブレ政府の有識者会議の初会合で、日テレが上下に大きく揺れ、他の3局も小さく揺れた内外タイムス
2026年10月2日日本テレビブレ単独インタビューで、首相だけを映す場面は揺れ、アナウンサーと一緒の場面は揺れなかったXの指摘

NHK「ニュース7」の斜め映像(2025年10月)

最初に大きな批判を集めたのは、高市内閣の発足を伝えたNHK「ニュース7」です。首相や国会議事堂の映像が斜めに傾き、日本保守党の百田尚樹代表が「極めて悪質」と批判しました。

元の映像にはなかったブレ(2026年2月)

2026年2月17日にNHKが放送した首相の映像は大きくブレていましたが、内閣広報室が撮影した同じ場面の映像には、大きなブレはありませんでした。

民放4局がそろって揺れる(2026年9月)

9月28日、政府の有識者会議の初会合を伝える映像で、日本テレビが上下に大きく揺れ、フジテレビ、TBS、テレビ朝日の映像も揺れていました。

首相だけを映すと揺れる(2026年10月)

10月2日の日本テレビの単独インタビューでは、首相だけを映す場面ではカメラが揺れ、アナウンサーと一緒に映る場面では揺れていなかったと、Xで指摘されました。

局と業界はどう説明しているか

NHKは意図を否定し、業界関係者からは現場の事情や機材の限界を挙げる説明が出ています。

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立場説明
NHK(公式)不安や否定的な印象を与える意図はない。様々なニュースで使っている手法(2025年10月の斜め映像について)
NHK関係者(デイリー新潮)「かっこいい映像を使っているつもりだった。不安を煽っているという見方もあるんだと初めて知った」
民放関係者(デイリー新潮)「ウチもやっている」
下矢一良氏(元テレビ東京ディレクター)撮影時間が短く三脚も立てられず、他社と場所を取り合いながら撮っていて「焦りまくっているだけ」(2026年9月の揺れについて)
業界人とみられる匿名の投稿(はてな匿名ダイアリー)報道用カメラには手ブレ補正がなく、望遠で肩に担ぐと揺れは避けられない。後から補正すると映像がゆがむ
田淵俊彦氏(映像プロデューサー、東京新聞)悪意ある印象操作とは言えない。一部を切り取って拡散した側こそ問題。ただしNHKも受け止め方に敏感であるべきだった

NHKの説明は矛盾している

「意図はない」と「手法」は両立しない

NHKは、不安や否定的な印象を与える意図はなく、「様々なニュースで使っている手法」だと説明しました。しかし、手法とは何かの効果を狙って意図的に使うものです。ダッチアングルは、たまたま傾いてしまう撮り方ではなく、わざと傾ける撮り方です。そして、その一般的な効果は、まさに「不安」や「違和感」を与えることです。

「この手法を使ったが、その手法の本来の効果は狙っていない」というのであれば、何の効果を狙ったのかを説明しなければなりません。NHKはその説明をしていません。

では、何の手法なのか

ダッチアングルの目的使われる場面
不安・緊張・異常さを感じさせる映画のサスペンスやホラー、悪役の登場場面(本来の使い方)
画面に動きや変化をつけるVTRの冒頭や場面の切り替え
スタイリッシュに見せるミュージックビデオや広告

NHK関係者は「かっこいい映像を使っているつもりだった」と話しています。しかし、ニュースで首相を映すのに「かっこよく見せる」演出が必要な理由は見当たりません。また、作り手が「かっこよく」のつもりでも、見る人が受け取るのは本来の「不安」や「違和感」です。映像のプロがこの基本的な意味を知らずに使っていたのなら、知識が足りません。知っていて使ったのなら、「意図はない」とは言えません。

「意図があった」と認めれば印象操作を認めることになり、「意図はなかった」と言い切れば、なぜ使ったのかの説明がつかない。NHKの説明は、どちらとも取れる言い方をせざるを得なかったものではないかと、当サイトは見ています。

NHKの説明以降、メディアはだんまり

この矛盾を問いただした大手メディアは、当サイトが調べた範囲では見当たりませんでした(2026年10月4日時点)。

媒体扱い方
産経新聞「物議」として事実関係とNHKの説明を伝えた
デイリー新潮民放関係者が「ウチもやっている」と、批判の飛び火を恐れているという切り口
東京新聞専門家の「印象操作とは言えない」という見方を紹介し、批判した側を問題視
週刊女性PRIME批判の声を紹介し、「NHKの見解を待ちたい」で終わっている

NHKの説明の中身を検証した記事はなく、矛盾に触れているのは個人のブログやnoteだけです。その後、2026年に民放各局でも斜め映像やブレが相次ぎましたが、原因を説明した局も、それを追及したメディアもありません。民放関係者自身が「ウチもやっている」と認めている以上、NHKの矛盾を突けば、同じ問いが自分たちに返ってきます。業界全体が口を閉ざしているのは、そのためではないでしょうか。

説明では説明しきれないこと

揺れや傾きがあったこと自体は、業界関係者も認めています。問題は、それが本当に現場の事情だけで説明できるのかです。

残る4つの疑問
  • 首相だけが揺れた:10月2日の日テレはスタジオでの単独インタビュー。時間も場所も確保できる状況で、同じ放送の中で首相だけを映す場面だけが揺れた
  • 元映像は揺れていない:2月17日のNHKは、同じ場面を撮った内閣広報室の映像に大きなブレがなかった
  • 「ウチもやっている」なら:他の政治家の映像にも同じように使われているはずだが、問題になったのは高市首相の映像ばかり
  • 説明がない:ブレについて、原因を説明した局も、追及したメディアも確認できない

一度だけなら、手法の選択や現場の混乱とも言えます。しかし、同じ首相の映像で、複数の局が、1年近くにわたって同じような指摘を受け続けている。当サイトは、この偏りこそが問題だと考えます。

報道機関に求められる説明

意図がないと言うなら、根拠を示すべきです。どんな基準で傾いた映像を使っているのか。元の映像になかったブレや、首相だけを映す場面の揺れは、なぜ生じたのか。各局がそれを具体的に説明することが、視聴者の信頼を取り戻す第一歩ではないでしょうか。

出典

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