不祥事・デマ・事件

NEWS23が農業・介護を「単純労働」と分類、マスコミの二重基準

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TBSの報道番組「NEWS23」が2026年9月下旬、日本で働く外国人の仕事を紹介するフリップで、医師や弁護士を「専門性が高い職」とする一方、農業や建設、介護などを「単純労働」と分類しました。現場で働く人からは「何をもって単純と言うのか」と反発が相次いでいます。かつてマスコミの側からは、「マスゴミ」という呼び方は職業差別だと訴える声も上がっていました。自分たちへの言葉には敏感で、他の職業への言葉には無神経。マスコミの二重基準を検証します。

NEWS23の「単純労働」フリップとは

医師・弁護士は「専門性が高い」、農業・介護は「単純労働」

問題のフリップは、就労目的で日本に在留が認められている外国人の仕事を紹介する場面で使われました。視聴者の投稿などによると、フリップは仕事を2つに分け、片方に医師や弁護士などの「専門性が高い職」、もう片方に農業や建設、介護などの「単純労働」を並べていました。

フリップでの分類 挙げられていた仕事
専門性が高い職医師、弁護士など
「単純労働」農業、建設、介護、宿泊、造船、外食など

※放送日(2026年9月下旬)とフリップの細かな文言は、視聴者の投稿などをもとにしています。

現場で働く人から相次いだ反発

「何をもって単純と言うのか」

放送後、Xには現場で働く人たちからの反発が相次ぎました。建設の現場については、「天気による全てのスケジュール変更に機敏に対応し、安全面や工期を計算し尽くして完成に導く」仕事だと指摘し、「何をもって単純と言うのか、説明してもらおう」と番組に迫る投稿もありました。

「単純労働」とされた仕事に必要な資格と技能

「単純労働」と分類された仕事の多くには、国家資格や専門的な技能が求められる職種があります。

分野 資格・技能の例
介護介護福祉士(国家資格)、介護支援専門員(ケアマネジャー)
建設施工管理技士(国家資格)、建築士、各種の技能検定
農業作物の栽培管理、農業機械の操作、気候や病害虫への対応などの知識と経験
外食調理師(国家資格)、食品衛生責任者
造船溶接技能者などの技能資格

「政府の言葉を引用しただけ」という擁護論

カギカッコ付きの「単純労働」

フリップの「単純労働」にはカギカッコが付いていたとされ、「TBSが独自に付けた言葉ではなく、政府が外国人材の受け入れ方針で使った呼び方を引用したのではないか」と擁護する声も出ています。

引用でも、説明なしに使った責任は残る

しかし、政府が2018年に外国人材の受け入れを広げた際にも、「単純労働」という呼び方には、現場で働く人から強い反発が出ていました。そうした経緯がある言葉を、報道番組が説明もなくフリップに載せれば、視聴者には「農業や介護は単純な仕事だ」という印象だけが残ります。誰の言葉であっても、何を伝えるためにどう示すかを決めるのは番組です。引用だったとしても、その責任は番組にあります。

「マスゴミは職業差別」とマスコミを代弁した記者

テレビ東京・篠原裕明記者の投稿

2024年11月、テレビ東京の篠原裕明記者は、Xで「マスゴミ」という呼び方に異を唱えました。日刊スポーツの報道によると、篠原記者は、「差別はおかしい」と主張する人が職業差別用語である「マスゴミ」を使うことに強い違和感があるとし、メディアへの批判は受け入れるものの、差別用語で言われると心が傷つき、その人に強い侮蔑の念を抱くと投稿しました。

篠原記者は官邸キャップなどを経て、2024年4月から同局の経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト」の編集長を務めています。NEWS23を放送するTBSではなく、テレビ東京の記者です。しかし「マスゴミ」という言葉は、特定の会社ではなくマスコミ全体に向けられたものであり、篠原記者もマスコミの一員として、その呼び方は職業差別だと訴えていました。

当時から上がっていた反発

この投稿には当時から、「批判を差別にすり替えている」「特権意識の表れだ」といった反発が多く寄せられました。

投稿は現在、確認できない

この「マスゴミ」に関する投稿は、現在、篠原記者のXアカウントを検索しても見つかりません(2026年10月4日時点)。削除されたのであれば、なぜ消したのでしょうか。自らの主張が正しいと考えるのであれば、消す必要はなかったはずです。

川勝前知事の「職業差別」は厳しく批判していた

篠原記者は、さらにその前の2024年4月2日、静岡県の川勝平太知事(当時)が新規採用職員への訓示で、県庁職員を「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違う」と表現した件について、Xで次のように批判していました。

この方は職業差別感の強い方?何度も。私が早稲田にいた頃に教鞭取っていた記憶があるが、恥ずかしい。

篠原裕明記者のX投稿(2024年4月2日)

支持される発言は残り、批判された発言は見当たらない

川勝前知事を批判したこの投稿は、49万回以上表示され、2,700件を超える「いいね」を集めています。もともと篠原記者は、ネット動画での分かりやすい政治解説で人気を得た記者で、現在はXで自身の著書も宣伝しています。

政治家の職業差別を批判する投稿は大きな支持を集め、今も残っています。一方、自らの業界への批判に「職業差別」と反論した投稿は強い反発を受け、現在は確認できません。番組の内容に責任を持つ編集長が、ネットでの反応によって発信を選んでいるのだとすれば、それは報道に携わる者の姿勢として問われるべきではないでしょうか。

マスコミの二重基準

マスコミの二重基準
自分たちに向けられた言葉
言われた言葉
「マスゴミ」
対象
報道機関という業界・組織
反応:「職業差別用語だ」「心が傷つく」と訴える
他の職業に向けた言葉
使った言葉
「単純労働」
対象
農業・建設・介護などの仕事そのもの
反応:説明なし(TBS「NEWS23」)
テレビ東京・篠原裕明記者の場合
政治家の発言
川勝前知事の農業などを見下す発言を「職業差別感の強い方」と批判
マスコミの発言
NEWS23の「単純労働」に触れた投稿は見当たらず
※報道、X投稿をもとに当サイトが作成(2026年10月4日時点)

「マスゴミ」は業界への批判、「単純労働」は仕事そのものへの評価

そもそも「マスコミ」は、英語の「マス・コミュニケーション」を略した言葉で、新聞やテレビなどを通じて大勢に情報を届ける仕組み、またそれを担う業界を指します。記者やアナウンサーといった個々の職業の名前ではありません。「マスゴミ」という呼び方も、多くの場合は、報道機関という業界や組織のあり方への批判として使われています。

一方、NEWS23の「単純労働」は、農業や介護の仕事の中身そのもの、つまりそこで働く人の仕事を「単純」と評価する言葉です。業界への批判を「職業差別だ」と訴える側が、働く人の仕事そのものを見下す言葉を使っている。当サイトは、ここにマスコミの二重基準があると考えます。

自分たちへの言葉には敏感、他の職業には無神経

テレビが他の職業を軽んじる表現を使ったのは、今回が初めてではありません。

時期 番組・人物 内容
2024年4月テレビ東京・篠原裕明記者川勝静岡県知事(当時)の農業などを見下す発言を「職業差別感の強い方」と批判
2024年9月フジテレビ「ぽかぽか」出演者が流れ作業の診察を「牛の屠殺みたいに」と表現。番組が「職業差別を助長するおそれがある」と謝罪
2024年11月テレビ東京・篠原裕明記者「マスゴミ」は職業差別用語だとXで訴える(投稿は現在確認できず)
2026年9月TBS「NEWS23」農業・建設・介護などを「単純労働」と分類

人の不幸で成り立つ商売が、誰を見下すのか

マスコミは、何か新しいものを生み出す仕事ではありません。事件や事故、他人の不幸や不祥事を伝えることで成り立っている商売です。その業界が、自分たちへの批判には「職業差別だ」と声を上げ、現場で汗を流して社会を支える仕事を「単純労働」とひとくくりにする。おこがましいと言うほかありません。

篠原記者は、川勝前知事の発言を「職業差別感の強い方」「恥ずかしい」と批判し、農業や畜産の仕事を見下す言葉を許しませんでした。では、同じマスコミの報道番組が、農業や介護を「単純労働」と分類したことについては、どう考えるのでしょうか。当サイトが確認した範囲では、篠原記者がNEWS23の件に触れた投稿は見当たりません(2026年10月4日時点)。政治家の職業差別は批判し、マスコミの職業差別には口を閉ざすのであれば、それこそが二重基準です。

言葉で人を区別する報道の責任

農業も建設も介護も、私たちの暮らしを支えている仕事です。その仕事を「単純」と呼ぶ言葉は、そこで働く人の誇りを傷つけます。そして、自分たちへの言葉に「職業差別だ」と声を上げるのであれば、まずは自分たちが他の職業にどんな言葉を向けているのかを振り返るべきです。

TBSには、なぜ「単純労働」という言葉をフリップに載せたのか、現場で働く人の反発をどう受け止めているのかを、説明することが求められます。

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