経営・ビジネス

新聞販売店の倒産が高水準、1〜7月で31件 部数半減で揺らぐ宅配網

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2026年8月、東京商工リサーチは、2026年1〜7月に倒産した新聞販売店が31件にのぼったと発表しました。前年の同じ時期より3割近く多く、2007年以降で2番目の多さです。新聞の発行部数は2000年から半分以下に減り、販売店を支えてきた購読料と折込広告の収入が細っています。新聞を各家庭に届けてきた宅配網は、どこまで維持できるのでしょうか。倒産の原因と背景を、一次データから整理します。

新聞販売店の倒産、2026年1〜7月で31件

2026年1〜7月の倒産
31件
前年同期は24件
前年同期比
29.1%増
年間50件超のペース
1〜7月としての順位
2番目
2007年以降(最多は2024年の33件)
負債5億円以上
1件
20年ぶりの発生

出典は、東京商工リサーチが2026年8月17日に公表した調査です。対象は、負債1,000万円以上の倒産に限られます。負債がそれより小さい廃業や、倒産の手続きをとらずに店を閉じた例は含まれていないため、実際に姿を消した販売店はさらに多いとみられます。

2025年度は過去30年で最多の43件

東京商工リサーチの調査を伝えたRTB SQUAREによると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の新聞販売店の倒産は43件で、過去30年で最多でした。2026年に入ってからも、そのペースは落ちていません。

ほとんどが小さな販売店の破産

区分2026年1〜7月
破産27件(全体の87.0%)
特別清算4件(前年同期は0件)
負債1億円未満26件(全体の83.8%)
負債1億〜5億円4件(前年同期の2倍)
負債5億円以上1件(20年ぶり)

倒産のほとんどは、事業を立て直す再建型の手続きではなく、店をたたむ破産や特別清算です。倒産した販売店は、その地域で新聞を配る仕事から完全に手を引いたことになります。一方で、負債が1億円を超える比較的大きな販売店の倒産も増えており、小さな店だけの問題ではなくなりつつあります。

倒産の原因は「販売不振」が大半

原因2026年1〜7月
販売不振24件
既往のシワ寄せ(過去の赤字の積み重ね)2件
他社倒産の余波(グループ会社などの連鎖)5件(前年同期は1件)
うち人手不足が関係した倒産(別集計)4件(前年同期は0件。うち求人難が3件)

販売不振と過去の赤字の積み重ねを合わせると、全体の8割を超えます。新聞が売れないことそのものが、販売店の経営を直撃しています。前年にはなかった人手不足による倒産が出てきたことも、新しい変化です。新聞を配る人が集まらず、配達を続けられなくなった販売店が出てきていることを示しています。

背景にある発行部数の減少

日本新聞協会の調査で、新聞の発行部数の推移を見ます。各年10月の数字で、朝刊と夕刊のセットは1部として数えています。

新聞の発行部数の推移(各年10月)
2000年
5,371万部
2005年
5,257万部
2010年
4,932万部
2015年
4,425万部
2020年
3,509万部
2021年
3,303万部
2022年
3,085万部
2023年
2,859万部
2024年
2,662万部
2025年
2,487万部
出典:日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」

25年で半分以下に、1世帯あたりは0.42部

指標2000年2025年
発行部数5,371万部2,487万部
1世帯あたり部数1.13部0.42部
世帯数4,742万世帯5,896万世帯

世帯の数は増えているのに、新聞の部数は半分以下になりました。かつては1世帯に1部以上届いていた新聞が、今では半分以上の世帯に届いていない計算です。販売店から見れば、配達する地域の広さはほとんど変わらないまま、1軒ごとの配達先がまばらになっています。

2025年の1年間で175万部減、夕刊の落ち込みが大きい

区分(2025年10月)部数前年比
総発行部数2,486万8,122部6.6%減
一般紙2,337万3,706部6.3%減
スポーツ紙149万4,416部10.9%減
朝夕刊セット337万5,969部13.8%減
朝刊単独2,114万5,804部5.2%減
夕刊単独34万6,349部14.0%減

日本新聞協会の調査では、減り方は前年より少し緩やかになっています。ただ、1年でおよそ175万部が減るという流れは続いています。とくに、夕刊を含む部数の落ち込みが大きくなっています。夕刊の配達は、販売店にとって1日2回の配達を意味します。夕刊がなくなれば配達の手間は減りますが、その分の収入も失われます。

販売店を追い詰める3つの要因

東京商工リサーチの調査を伝えたRTB SQUAREの報道などから、販売店の経営を圧迫している要因を整理します。

購読料と折込広告の収入が減っている

販売店の収入の柱は、新聞の購読料と、新聞にはさむ折込チラシの手数料です。部数が減れば購読料が減り、配る部数が少なくなれば折込チラシを依頼する企業にとっての価値も下がります。部数の減少は、販売店の2つの収入源を同時に細らせています。

配達する人が集まらず、高齢化も進む

RTB SQUAREによると、新聞販売所の従業員数は2025年に初めて20万人を下回り、60代以上が半分を超えています。早朝や夕方の配達は、もともと人が集まりにくい仕事です。働き手の高齢化が進む中で、人手不足による倒産が出てきたことは、配達そのものが続けられなくなりつつあることを示しています。

燃料費などのコストは下がらない

部数が減っても、配達する地域の広さは変わりません。バイクや車の燃料費、人件費といったコストは、部数に合わせて下げることが難しい費用です。東京商工リサーチも、部数の減少と固定費の上昇が重なっていることを、販売店の苦境の理由に挙げています。

販売店の倒産は、新聞社の経営問題でもある

宅配網は新聞社の事業の土台

日本の新聞は、販売店が毎朝各家庭に届ける宅配制度によって、大きな部数を保ってきました。販売店の多くは新聞社とは別の会社ですが、新聞社にとっては、読者に新聞を届ける事業の土台そのものです。販売店がなくなった地域では、新聞を読みたい人がいても届けられなくなります。販売店の倒産は、新聞社の経営とも切り離せない問題です。

部数の減少が、さらなる部数の減少を呼ぶ

部数が減ると販売店の経営が苦しくなり、販売店が減ると新聞を届けられる地域が狭まります。届けられなくなれば、読者はさらに減ります。販売店の倒産が続けば、この悪循環が加速するおそれがあります。

確認できたこと、確認できていないこと

確認できたこと確認できていないこと
2026年1〜7月の新聞販売店の倒産が31件だったこと(東京商工リサーチ)負債1,000万円未満の倒産や、手続きをとらない廃業の数
倒産の大半が販売不振によるものであること倒産した販売店が、どの新聞社の系列だったか
2025年10月の発行部数が2,486万部で、2000年の半分以下であること(日本新聞協会)新聞が届かなくなった地域が、どれだけあるか
人手不足による倒産が前年の0件から4件に増えたこと新聞各社が、販売店をどう支援しているか

宅配網を誰が、どう支えるのか

販売店の倒産は、部数減の「末端」での表れ

新聞の部数が減っていることは、以前から知られています。しかし、その影響が最も早く、最も厳しい形で表れているのは、新聞社本体ではなく、新聞を配る販売店です。2025年度の倒産は過去30年で最多となり、2026年もそのペースは衰えていません。

新聞社に問われる、宅配網の将来像

宅配網は、新聞社が大きな部数を保つための土台でした。その土台が崩れつつある今、新聞社がどこまで販売店を支え、どの地域で宅配を続け、どこからデジタルに移すのか。その方針は、読者にとっても、新聞を届けてきた販売店にとっても大きな問題です。当サイトは、新聞各社が宅配網の将来像を、読者と販売店に向けて具体的に示すべきだと考えます。

出典

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